1人でもふもふ

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第9地区:感想(バレ有り)


参考記事:第9地区 wiki

レンタルで観たので感想。
SFアクションのハリウッド映画という事で、どうせ派手なVFXで見た目だけの作品なんだろ?、と思ったそこの方。この作品は一味違います。
監督は南アフリカ出身らしく、ハリウッドの映画手法に完全には染まっていない印象。
第9地区」の舞台が南アフリカのヨハネスブルグなのもそういう経緯があるみたい。


●ストーリーあらすじと感想
いきなりエイリアンが人間と共存する世界がドキュメンタリータッチで描かれているのが衝撃だった。
ハリウッド映画ではエイリアンは殆どの場合「悪」で「強い」存在なので、いきなりハリウッド映画の文法壊してるなーと。
結局人間に煙たがれて隔離地区へ強制移住させられるトコからスタートする訳だけど、主人公がDNA感染してエイリアンに徐々になっていくのが恐怖だし、そのDNAを政府機関の人間が欲しがって彼を生きたまま解剖しようとするのが気持ち悪かった。
更に気分が悪くなるのは、エビ(エイリアンの事)一匹一匹は知能の低い存在として描かれているので、人間が引っ捕まえて生きたまま実験の道具にしている事。強制移住させる際にも虫けらのようにエビを殺すし、一体どっちが「悪」の存在なのか分からなくなってくる。
主人公は元の人間の姿に戻りたいので、エビの中でも頭脳の高いクリストファーに助けを求める。
クリストファーは主人公と協力し、追ってくる人間と闘いながら宇宙船に帰る準備をするが、最後の段階で利害関係が別れてしまい、主人公はクリストファーを一旦裏切ってしまう。
クリストファーはエビで醜悪な姿をしているのに、彼と彼の子供はどんどん人間らしい一面を垣間見せてくれ、欲に溺れた人間との対比が見事だった。
ここら辺人種差別問題が深刻な南アフリカの監督が作っているだけあるなと。
最終的に主人公は自らの命を投げ打ってこのエイリアン親子を宇宙船へ届けた訳で、エイリアンに変身してしまう前に人間としての尊厳を見せてくれたのが、最後の希望と感じた。


SFアクションのハリウッド映画でこれだけ余韻の残る映画はそう無いんじゃないだろうか。
人種差別、難民の隔離政策、人間の欲望や家族の愛情等観終わった後も考えさせられる映画だった。
決してカッコイイシーンを観て気分爽快になる映画じゃない事だけは確かだ。

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