1人でもふもふ

ゲーム・映画・音楽・アニメ・漫画・本等、感じたこと思ったことを書いています

星を追う子ども : 見知らぬ世界をひと冒険

 深海誠監督のアニメーション作品4作目(短編入れて5作目)
 一応自分のブログでも「ほしのこえ」「秒速5センチメートル」の感想を書いていたり。「雲のむこう、約束の場所」も鑑賞済。
 深海監督の作品全編に言えるのは、風景描写の美しさと、登場人物の心理描写の緻密さ。特に心理描写は詩的で心にグッと迫るものがある。


 そんな感じで好きなアニメ監督の一人なので、今回もレンタルで借りて観てみました。

 今回の作品はファンタジーアクション映画で今まで深海監督のアニメではあまり観られなかったジャンル。前3作とは毛色が違うので大丈夫か?、とは思ったものの、観終わった感想は「RPGのような見知らぬ世界をひと冒険してきました」
 冒険のステージは地下世界「アガルタ」で、地球の下に広大な地下世界が広がっている設定。そこには独自の文化や不死の技術を持った持った人達、半神の獣や異形の住人が生活していてココらへんもろRPGっぽい。
 元々深海監督は日本ファルコムでしばらく働いていたらしく、その頃の仕事がフィードバックされているのかな。
 宮崎駿作品っぽいとネットで言われているけど、深海監督自身意識していたようだ。環境や人との繋がり、神道(日本文明的な精神世界)の影響なんかがそこかしこに感じられた。
 ただジブリ作品とは掛かっているお金も違うっていうのもあるけど、躍動感のある場面は一歩劣る気はする。
 いかんせんこのジャンルの作品のトップレベルが高すぎるのでしょっぱい評価になってしまうなw


 前3作品と比べて、深海監督の違う一面を見れた反面、監督自身の良さを存分に生かせて無かったのでは?、と思った。
 ファンタジー世界だと風景の緻密な描写が「そこにあるように」感じさせる程では無いし、人物の心情も主人公の明日菜がどこに向かって世界の果てに行こうとしているのか動機付けが弱い。一緒に行動した森崎も、何故そこまでして妻を死の世界から引き戻したかったのか良く解らない。
 ただ明日菜とシュンとの出会いから別れの場面は、深海監督らしさを感じた。あと最後の余韻ある終わり方も。

 
 今までの作品が良かったので期待が膨らんでしまったというのもあるけど、思っていた通り素晴らしい作品でした!、とは言えなかったのが正直な感想だなあ。